新潟県のマクドナルドで販売されたフィレオフィッシュの一つから、寄生虫の死骸が発見されたという。この寄生虫、テラノーバといって、フィレオフィッシュの材料であるスケトウダラにはごく普通に存在しているらしい。この製品にあたった人は確かにお気の毒だが、分からないのはこのことでマクドナルドを非難する人たちだ。
魚に寄生虫、いやいや、生き物に寄生虫というのは自然界では「よくあること」であり、むしろ寄生虫のまったく存在しない(主に先進国の)人間の方がよっぽど「異常」なことだ。もちろん寄生虫の中には、生食すると何らかの病状を引き起こすものも少なくないし、テラノーバも例外ではない。そういった危険から身を遠ざけるのは、食品を扱うものであれば当然のことだ。その点マクドナルドでは、手作業で寄生虫を取り除く作業を二回行った後、魚肉を凍結させているため、残った寄生虫も完全に死滅しているという。食品衛生上何の問題もない。
何の問題もないのだから、報道に値することでもないはずだ。それなのにこうしてこの件が表沙汰になっている、というのが不思議で仕方ない。邪推するに、冷凍餃子や偽装表示など、最近の食に関する不祥事続きの一連になると思って取り上げたのだろう。あるいは人々の関心が食に集まる今、内容はさておきとりあえず食に関する記事を流して、人々の不安をあおってやろうというただれた考えがあるかもしれない。後者が考えすぎであることを願うばかりだが、どちらにせよ、メディアの過剰反応というほかない。メディアが過剰反応すれば、それに触れた人々はますます過剰反応をきたす。現にこの報道に触れて、食に対する不安感を一層募らせた人も多いだろう。実際は何の問題もないことなのに。
結果的にメディアは「大衆をあおっている」といわれても仕方のない立場なのだ。もちろん大衆としても、メディアにあおられぬように慎重になるべきなのだが、やはりメディアの影響はぬぐいきれないだろう。そのことを肝に銘じて、いついかなる時も公平で冷静な判断基準を保つことがメディアの義務ではないかと、いつもながら思う。